2013年5月29日(水) 5:28
涙腺は緩むばかり

写真は本文とは関係ありません。念の為。

 歳とともに涙腺の緩みは如何ともし難い。 そんな出来事を二題あげます。

 大阪天満のマンションで、母(28歳)子(3歳)が亡くなっていた。どうやら2月頃に餓死していたらしい。 母親のメモが見つかり、そこには、「最後におなかいっぱい食べさせられなくて、ごめんね」と記されていたという。子に食べさせられない程親にとって辛いことはあるまい。今更言っても詮無いことながら、生活保護等の方法が取れなかったのだろうか。

 これは新聞の特集から。2004年10月23日午後、新潟県山古志村をM6.8の大地震が襲った。Iさん(78歳)は箪笥の下敷きになり身動きが取れなくなり、「亡くなった母さんのところにいくのかな」と諦めとともにぼんやりしかけたときに、頬に生暖かいものを感じた。

 それは愛犬マリだった。マリはその朝、子犬を3匹産んで母親になったばかりで、子犬たちの世話をしながら、瓦礫の中、ガラス片で傷だらけになって飼い主を探しに来たのだった。マリは暗闇の中何度もやってきて、顔を覗き込んでは頬を舐め、元気づけてくれた。 この話はその後「マリと子犬の物語」となったが、そのマリは今も元気に山古志で暮らしていると写真で紹介されている。 ”そんなこともあったかなあ” 風の顔をして。